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協会事務所の導入技術

高断熱住宅は2050年型住宅への第一歩です。しかし、高断熱設計のみでは2050年の低炭素社会には対応できません。本来の2050年型住宅は、日本の風土に合った『日射取得を前提としたパッシブ設計の住宅』です。
当協会の事務所は、冬対策の『日射取得の設計』『多種多様な蓄熱技術』、夏対策の『外構計画』『通風計画』『日射遮蔽』、年間を通じて活躍する『昼光利用』などの設計手法を最大限に活用し、2050年型住宅の本来の姿を実現しました。

熱分配(集熱+蓄熱+放熱)

この事務所の設計コンセプトは日射利用のパッシブデザインを前提としています。日射を利用する場合「断熱」「防熱(日射遮蔽)」を前提に、「集熱」「蓄熱」「放熱」をセットで考える必要があります。「集熱」は窓から行う事で日射取得熱を簡単に大きくすることが出来ますが、「蓄熱」作用を持った内装材でないと「温まりやすく、冷めやすい」建物になってしまいます。
本事務所は、「温まりにくく、冷めにくい建物」、つまり、温度変化が過敏にならない建物を目指した為に、熱容量の大きな土間コンクリートとは別に、さらに大きな熱容量を持っている硫酸ナトリウム10水塩(潜熱蓄熱材)を使用しました。

集熱

大開口・ファサード

冬は昼間の日射取得により部屋を暖め、暖房エネルギーを削減しなければなりません。日射取得を行う場合、南側の開口部を大きくする必要があります。当然、ガラスはLow-Eでない種類を選択し、ブラインドなども閉じることができません。そのような場合に南側が道路などでは、外から室内がよく見えてしまいます。そこで弊社の事務所は、南側のファサードを直線でなく“くの字”にすることと、窓を上下2段として、上部の窓を天井を基準に設置し、下部の窓を地窓とし、直接覗きにくいようにしました。南側には、独立した小さな居室状態になった日射取得ゾーンがあり、そこに階段を配して視線を大きくカットし、その空間に蓄熱の壁や床などを配しました。
また、南側の窓をあまりにも大きくすると耐震性が低下してしまうというリスクがありますが、私どもの場合には壁集熱を設置することにより、耐力壁の配置を容易にしました。

壁集熱

冬の日射熱をより有効に利用する為に、窓(大開口)に加えて壁集熱の設備を導入しています。窓集熱では、日中には集熱、夜間では放熱の作用があります。この設備はほぼ集熱のみのため、太陽熱暖房システムとして利用しています。集熱面積は2.8㎡ですが、放熱面積は100φと150φの貫通部分、面積換算で0.026㎡です。
この壁集熱は、集熱層の温度が35℃以上になった場合に自動で集熱面の熱を室内に取り込みます。効果は、Q値0.99、延床422㎡の建物を約0.85℃、125㎡の場合では、3.5℃も自然温度を上昇させることができます。

蓄熱

水蓄熱(ウォーターウォール)

パッシブ設計の住宅に熱容量は欠かせません。熱容量とは、熱を貯め込むタンクのことです。この熱タンクが小さい高断熱住宅で冬場に大量の日射を取得をしてしまうと、熱が逃げていかないので室内が暑くなりすぎてしまいます。熱を貯めるタンクが無いために室内に熱が漏れ出してしまう、これがオーバーヒートです。熱タンクの容量はその建材の、①熱を貯められる能力(比熱)、②体積、の2点で決まります。つまり、能力があり体積が大きいことが必要となります。別表であるようにその能力が大きい物にはコンクリートや石膏ボードがありますが、石膏ボードは体積がありません。そこでコンクリートを使うことが一般的ですが、今回は熱容量の大きな硫酸ナトリウム10水塩と、水(能力が大きく、体積も大きく確保できる)を使いました。特に水はコスト面やメンテナンス面からペットボトル(2L)の水を活用し、全体コスト9万円程度で97,440 kJの熱容量を確保することができました。

潜熱蓄熱

潜熱蓄熱材とは、「硫酸ナトリウム10水塩」をポリプロピレン容器に充填した潜熱蓄熱材です。この蓄熱材を壁、床下、天井等に入れることで簡単に熱容量を確保することが出来ます。「硫酸ナトリウム10水塩」は、1kgあたり82kJという大きな熱容量を持っており、同じ容積のコンクリートや砕石と比較してみると約5.5倍以上の熱量が蓄えることができます。この大きな熱容量が蓄えた熱を長時間に渡って放出し、お部屋の温度を快適に保つことを可能とします。また、水やコンクリートなどを蓄熱材とした場合は、放熱にしたがって蓄熱材自体の温度が下がりますが、凝固熱を利用した潜熱蓄熱は長時間一定の温度を保って放熱しつづけます。これも安定した保温効果を支える大きな技術です。この潜熱蓄熱材は、小さな容積で熱利用効率を向上させる為に大変有効な材料です。

放熱

蓄熱した熱は日射がなくなり外気温が低下してくる夕方から放熱を行います。一般的に固体のみ、液体のみの物質の変化がない顕熱蓄熱体は、放熱を行うと一方的に温度が低下し、室温で放熱が終了します。①のお風呂のお湯では、適温がせいぜい39℃~42℃であり、その時間は極めて短時間で通りすぎてしまうのに対し、②の場合には仮に室温が-10℃であった場合は0℃の時点で水が氷に変化し始めます。その時間は①の何倍もの長時間となり温度が一定になります。この長時間一定温度を保つ凝固・融解温度を、壁には23℃、ダイレクトゲイン土間床のところは29℃、床暖房では32℃と、それぞれの目的に応じた温度の潜熱蓄熱材を導入しました。

通風

外構計画

夏期の通風計画を行う場合、通気で導入する外気がどの程度の温度で侵入してくるかで、室内の快適度が大きく左右されます。日射は外部の地面部分を温め、蓄熱作用の大きな物質は夏場非常に大きな熱源として存在しており、サーモビジョンで撮影された、芝、土、アスファルトでは、20度以上も表面温度が違っていることが分かります。芝は光合成を行うときに水分を放出する蒸散を行っており、その水分の気化熱が芝表面の温度を大きく低下させます。
一方、アスファルトやコンクリートは大きな蓄熱容量によりどんどん蓄熱され、表面温度は非常に高くなります。建物の南側の地面の仕上げを何にするかで、通風計画の成果は大きく左右されます。

地窓・頂側窓

効果的な通風計画を行うために、南側に地窓、北側に頂側窓を設置。通風のためには、風の出入口が必要不可欠で、高低差約8mの建物の南側地窓を入口、北側頂側窓を出口としました。また南側の外構を芝生にしたことで、昼間は光合成時の芝生の蒸散作用により冷やされた空気を地窓から取り込むことができ、室内を快適に保つことが出来ます。住宅では効果的な通風を24時間行いたいところですが、建物の南側は最も目に付きやすいため夜間も開け続けているのは防犯上避けたい部分です。そこで南の窓を上下に分けることで、外部からの視線をカットすることを可能としました。さらに面格子が付いていることで安心して昼夜問わず開けることができるので、24時間通風を行うことが出来ます。
また、北側の側面部分(壁)の高い位置に頂側窓を配置しました。頂側窓近くは熱気がたまりやすい為、窓を開くことで熱気を効果的に排出することが出来ます。雨仕舞が良いのでトップライトでは実現できなかった雨天時の換気も可能となります。
さらに北側にある窓なので、昼光利用に最適な窓であり昼間は安定した光を取り入れることが出来ます。頂側窓は高い位置にあるほど光がやわらかく広がり室内の奥までしっかりと光が行き届くため消灯率が高くなり、直射日光が当たらないためアウターシェードやブラインドで日射遮蔽を行う必要がありません。

バルコニー形状

当協会事務所のバルコニーは、通気量の確保が前提のデザインです。日本には、2階の掃き出し窓の目の前がバルコニーになっている住宅が多くありますが、その多くが通気の出来ないデザインです。閉鎖的なバルコニーを多く採用する理由はプライバシーの確保だと考えられますが、ドイツのパッシブハウスはどんな住宅でもしっかりと通気の出来るデザインになっています。パッシブ設計に通風は欠かせないということを、忘れてはいけません。

屋根形状

空調を活用していない場合、室内は家電や人間から発せられる熱によって外部より暑くなります。この熱気を排出する為には、屋根形状を片流れとします。すると熱気は頂頭部に集まり、頂側窓を開けることで外部に排出されます。また、気密空間の場合では排出と流入が同時に行われるため外部から空気が流入し、この時に気流感を感じることが出来ます。尚、夏場は南風が一般的。南から吹いている風が外壁で切り裂かれ、屋根で押し上げられます。つまり、北以外の側面や屋根は気圧が高くなるので、低い気圧の北側は無風状態でも乱気流が発生し北の窓からも空気が入り込みます。室内で複数の風を感じることで快適性がアップするので、冷房エネルギーの削減になります。一般の住宅地で高さに制限がある場合はのこぎり型で対応します。
事務所 片流れ 屋根形状

シーリングファン

冷房エネルギーを削減する方法として室温を上昇させる手法が一般的ですが、生活感としては当然暑く感じ不快な状態になります。この事務所では室温を上昇させつつ快適な生活感を得る為に、ミスナール体感温度を前提に体感温度を計算し気流を活用しました。ミスナール体感温度の計算とは、「室温(℃)」「湿度(%)」「気流(風速m/s)」を前提に体感温度を計算する方法です。

当協会では、エアコンで除湿された冷たく乾いた空気を落下させることで気流を起こし、その落下をより加速させるためにシーリングファンを併用しました。シーリングファンの消費電力は最大でも約20~25W。少ないエネルギーで冷房エネルギーを節約し、快適空間を実現させました。

日射遮蔽

アウターシェード

アウターシェードは窓の上部に固定され、ロールスクリーンのように必要な時期に簡単に遮蔽ができ、同時に風の強い日には簡単に収納できる点も大変便利な日射遮蔽スクリーンです。今回採用したアウターシェードのグリーンタイプは日射の遮蔽率が大変大きく、APW330の遮蔽タイプのガラスと相まって日射の遮蔽率は90%にもなります。本来、東西面の設置が有効だが、本社屋はデザイン上の理由から南側の軒の出が“ゼロ”なため南側にも設置しました。南側の壁面の白色の漆喰仕上げと相まって南側ファサードのデザイン上の大きな特徴となっています。

昼光利用

当協会の社屋では、昼間の明るさを有効に活用する為、北側に窓を多く設置しています。北側の窓は日射熱の利用は出来ませんが、熱の影響が少なく、安定的に照度確保が出来ます。南側の開口部は熱の影響を受けやすい、また採光の変化が激しく安定した照度を確保することが出来ない、といった点から昼光利用には不向きです。昼光利用を考える場合には、北側に窓を設置するのがお勧めです。特に頂側窓は、高い位置にあるほど光がやわらかく広がり、室内の奥までしっかりと光が行き届きます。また、頂側窓を設置することで効果的な通風を行うことが出来るので、特に導入をお勧めします。光を取り入れることで照明点灯時間が短くなり、照明に係るエネルギーを削減することが出来ます。デザイン上部屋を明るくすることはパッシブデザインの根本的な考えにつながります。
社屋 導入技術 北側 頂側窓

その他設備

ハニカム構造・断熱ブラインド

ハニカム構造・断熱ブラインドは最も断熱効果のある空気を断熱材として利用しています。空気の性質は暖まると動き出してしまうため、静止空気層としてハニカム状の空気層を設けました。南側の開口部は日射取得に最適な窓となっている為、上下コードタイプのスノードリフト(白)を採用。上下コードタイプは上下どちらからもブラインドの開閉が可能であるため、上部と下部を開け日射取得、そして中央部を閉めプライバシーを確保することも出来ます。また、色を白にすることでブラインドを閉めても部屋を明るく保つことができ、冷暖房を稼動している間はブラインドを閉めることにより熱損失を減らせるので、エネルギーの削減にもつながります。

ヒートポンプ式温水床暖房

協会の事務所ではエコヌクールを導入しています。24時間ヒートポンプを稼動させるよりも夜間電力を有効活用することで、なんと1/12(電気ヒータ比)の暖房エネルギーになります。しかし、快適性を考えた場合には熱容量の確保が必要となります。これは夜間電力帯に蓄えた熱を昼間も使い24時間暖房とするためです。今回の熱容量の確保には、凝固点32℃の熱量の大きい潜熱と土間床を合わせました。これによりなかなか冷めない輻射式の床暖房となり、最高の快適性と省エネ化が実現されました。

サーモボーデン

当協会1F研修室に導入しています。暖房設備の効率化の代表はエアコンですが、エアコンの居住環境は快適とは言えません。不快な原因は風の気流感と足元の温度が低い点です。サーモボーデンの場合、暖房設備の基本はエアコンになりますが、補助的に僅かな熱を床面から放熱する設備です。熱源はヒーターですが、出力が小さい分消費電力も小さく、使用時間帯も限られ、立ち上がり速度も早いのが特徴です。高効率ACと床暖房であるエコヌクール(COP4.0)と比較し、その電力の差額分でどの程度のサーモボーデンが導入できるかを検討した結果、約12㎡。この面積を加温しても消費電力はエコヌクールと同じになるということが分かりました。

パッシブデザインを前提とした設計をする場合、窓が重要な役割を果たします。冬は断熱性能と日射取得の良し悪しを窓面に求めるのに対し、夏は日射遮蔽の良し悪しを窓面に求めます。当協会の事務所では、南面は冬場を想定し断熱性能が高く日射取得の多い窓を、南面以外の窓は日射遮蔽ができ断熱性能が高い窓を採用しました。断熱性能のみで窓を考えると断熱性能の良いAPW330になりますが、南面のみ1ランク下で一般複層ガラスが選択出来るプラマードⅢを採用し、それ以外をAPW330の室外側Low-Eガラスとしました。冬場は南面からより多くの日射を取り込むことで室内を暖め、暖房エネルギーを削減。ほぼ無暖房状態で過ごすことが出来ます。また、高断熱住宅は熱を溜めやすい為、夏場には南面のみだけではなく東西面からの日射も遮蔽する必要があります。そこで夏対策として、南面以外ではAPW330の室外側Low-Eガラスを採用し、南面の夏対策にはアウターシェード(日射遮蔽スクリーン)を導入しています。

高効率第一種熱交換換気システム

当協会の事務所には、日本スティーベル株式会社のダクト式換気システムを導入しました。『顕熱交換率90%』室内の熱を回収して再度室内に熱を放出する熱交換型のシステムです。顕熱の場合、湿度は交換しないのでトイレや浴室も換気できます。交換率90%の例として、外気温度が0℃、室内温度が20℃の場合、新鮮な空気を約18℃に加温して、室内に取り入れます。結果、快適な生活及び暖冷房費の大幅な削減が実現できます。換気は日常のメンテナンスが重要です。換気は屋外の空気を、言わば掃除機のように吸い込むため、1年間フィルターの掃除をしないと写真のようなゴミと虫がたまった状態になってしまいます。スティーベルは本体を天井埋込きまたは壁に掛けるタイプなので、フィルターの交換等メンテナンスが非常に簡単です。結果、この『見える化換気』により健康な生活の実現につながります。

高効率エアコン

事務所は パッシブデザインにより極力エアコンを使わないように設計されています。夏場は気流感を通風(地窓・頂側窓・欄間・外部の芝等)により確保し、体感温度を下げることを可能としました。温度・湿度を下げるにはエアコンが必要ですが、最小限の利用で済みます(シーリングファンのミスナール体感温度を参照)。省エネ運転は設定温度を上げるので暑く感じます。そこでシーリングファンで気流感を得て体感温度を下げることにより、省エネでかつ快適な空間が実現できます。アウターシェードや、遮熱ガラスも日射を遮蔽し、冷房負荷を抑える設計になっています。冷気は下に落ちるため、当協会ではエアコンの多くを協会社屋の最上部に設置し、いちばん高い位置から冷気を落とすことで社屋全体を冷房できるよう工夫しています。

照明

多灯分散の照明計画を行い、小さな照明を多く設置することで、デスク上に影を落とさないよう明るさを確保しました。住宅の場合は多灯分散にすることで、同じく多数の機具が必要となりますが、照明のON・OFFを行うことで、照明による自分スタイルの生活が演出できます。照明を落とした落ち着く空間は、照明エネルギーの削減にもつながります。
導入する照明は、特に電球自体の照度と消費電力のバランスを検討したいところです。事務所では、導入時のイニシャルコストを抑えるため、蛍光ランプを採用しましたが、今後より省エネなLED照明に交換することを考慮し、LED取付可のソケットを選びました。

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