ヒートショックとは

『ヒートショック』という言葉を知っていますか?

日本の住宅の断熱性能は高いのだろうか。日本人だからこそ、日本の住宅は断熱性能が良いと錯覚していないだろうか。実は日本の住宅には、冬場に宅内で亡くなるといった大変なリスクが存在しているということを知る必要があります。例えば冬になると、特に高齢者の方が、“お風呂場やトイレで急死した”という死亡事故をよく耳にします。それが『ヒートショック』と言われる問題です。もう少し詳しく見てみましょう。

ヒートショックとは?

ヒートショックとは、寒さや著しい温度差の影響で大きな血圧変動が生じ、身体に大きな負担がかかった状態のことです。家庭内では、裸になり熱い湯に入る冬季の入浴中に起きやすく、入浴中の事故で亡くなる人は年間14,000人を超えると言われています。2012年の交通事故による死亡者4,411人と比較すると、お風呂場で亡くなった人は3倍以上もいることになります!

ヒートショック

ヒートショックってどんな状態?

“血圧変動により身体に負担がかかった状態”とはどのような状態なのでしょうか。
最もヒートショックが起こりやすい状況は、冒頭に述べた冬季の入浴中です。
では、なぜ冬季の入浴中にヒートショックが起こってしまうのか、血圧の変動を考えてみましょう。

入浴の際は、居間などの暖められた部屋から寒い脱衣所へ移動し服を脱ぎます。この時、裸になり急な寒さに曝されることで血管が突然収縮し、血圧が急上昇します。その上、熱いお風呂に入る時は驚愕反射により血圧が再上昇します。この場合、その場で気を失ってしまうこともありますし、場合によっては脳出血を起こしてもおかしくないほど人体は危険な状態に曝されています。

冬季は特にお風呂の湯が熱く皮膚血管が拡張するため、入浴中は血圧が急速に低下します。身体が温まると発汗により脱水が生じ血液粘度が増すため、“心筋梗塞”や“脳梗塞”を起こしやすくなります。また、浴槽から出るために急に立ち上がると、起立性低血圧により失神することもあります。

こういった症状は若年者ではなく循環機能や血圧調節能力の劣る高齢者に多くみられます。
そして浴槽には湯があるので、気分が悪くなって失神してしまうとそのまま湯中に没し死に至るケースが非常に多いのです。

室温の急激な変化があると人間の体は体温を一定に保つために血管が急激に収縮し、血圧の変動や脈拍の変動を起こします。このような急激な温度変化は、人の身体に想像以上の負担をかけているということを知っておいていただきたいと思います。

日本の現状は?

最初にお話しした通り、入浴中の事故で亡くなる人は年間14,000人を超えると言われています。2010年度における家庭内の不慮の事故死者数は14,249名で、そのうち65歳以上の高齢者が11,429名と80%を占めています。事故死因の第1位は溺死、次いで窒息です。溺死というと、以前では海水浴やプールでの夏の事故でしたが、近年では「浴槽の中」の死亡者が多くなっています。入浴中は溺死だけでなく脳血管疾患等により死亡する場合も非常に多いため、それにより入浴中の死者数が跳ね上がっているのが現状です。

なぜ住宅内でヒートショックが起きるの?

いくら暖房が普及したとはいえ、現在の日本の住宅では部屋ごとに暖房を行うことが普通です。暖房範囲の代表的なものには、『全館暖房』と『部分間欠暖房』があります。

日本の一般地の住宅のほとんどでは、「部分間欠暖房」になっています。部分間欠暖房とは、暖かさが必要な場所で必要な時だけ暖房をする方法のことです。なぜ日本人がこの「部分間欠暖房」を採用するのかというと、そもそも「全館暖房」という暖房方式を作り手側が理解していないことから、住まい手側も知るすべが無かった、ということが大きな理由だと考えています。

しかし、「全館暖房」は北海道や先進国の生活スタイルではすでに一般的なのですが…。

例えば、長時間使用する居間や寝室は暖房されていても、トイレ、廊下、浴室は暖房されておらず、ほぼ外気温に近い状態になっていることも少なくありません。この状況により、先程お話しした“住宅内での著しい温度差”が生まれ、大きな血圧変化(ヒートショック)が起こり、寒さを自覚しにくく血圧の上昇が激しい高齢者が脳卒中や心疾患といった重篤な疾患に陥りやすくなるのです。

つまり、特に高齢者が住まう住宅では滞在時間の短い廊下・トイレ・脱衣所・浴室であっても、室温を水準以上に保つ必要があるということです。

寒さが引き起こすその他の健康影響

以上のように、冬季の低温が居住者の健康に与える影響は少なくありません。低温が引き起こす健康影響はヒートショックのみでなく、低温空気の吸い込みによって免疫力が低下したり、乾燥やひび割れから感染症を誘発しやすくなったりします。

 

どうすればヒートショックや健康被害を防げる? 住宅の断熱水準との関係

低温による健康影響を無くすには、住宅全体の温度を上げることがいちばんです。しかし、断熱性能が悪いスカスカの住宅では、いくら居間や廊下、脱衣所などを暖房しても暖まらず、たとえ部分間欠暖房にしたとしてもエネルギー消費だけが増加してしまいます。そこで温度差のない暖かい空間を実現する為には、住宅の断熱性能を上げることが重要なのです。住宅の断熱性能が高くなると最小限の暖房エネルギーで住宅全体を暖めることが出来るようになり、省エネにもなります。

また、今まで住んでいた住宅で、せきやのどの痛み、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎といった症状のあった人が新築の戸建て住宅に転居した場合、その住宅の断熱性能が高ければ高いほどそういった症状が改善される人の割合が増えるそうです。

断熱性能の高い住宅で暮らすことは、様々な症状を改善したり、病気を防いだりと、人が快適で健康に暮らすための第一歩だと言えるのです。

 

当協会は、住宅全体の温度差がない快適で健康的な住環境を皆様に提案します。

先に述べたように、低温による健康影響を無くすために住宅の断熱性能を上げることに加え、暖房に関しては全館暖房オススメします。

全館暖房の住宅は、部分間欠暖房の住宅と比べて住宅内における温度差が無くなるので身体への負担も無くなります。省エネ性はもちろん大切なものですが、生活者が安心して暮らせる快適な環境も考える必要があります。

一般的な古い住宅などは隙間だらけでいくら暖房しても暖まらない家で、部分間欠暖房にしたとしても暖房エネルギーの消費量は多くなります。しかし、冬場に住宅全体を暖めるために使用するエネルギーは、健康のためにも最低限必要なエネルギーなのです。

だから、その消費エネルギーを出来る限り減らすために高断熱・高気密の住宅が必要であり、そうして最小限の暖房エネルギーで快適な住環境を実現することが大切です。