被災地視察に関する報告 |
■被災地の現状
平成23年8月31日(水)~9月2日(金)に宮城県を中心に仙台市、名取市、石巻市、南三陸町、気仙沼市の被災地を訪問し、視察を行って参りました。3月11日に発生した東日本大震災より約半年が経った現在でも、被災地は未だ震災の爪痕が大きく残り過酷な状況が続いていました。
【宮城県仙台市若葉区】
特に石巻市の海岸付近の町は津波による被害が予想以上に大きく、その場所が住宅地であったとは思えないほどに全てが押し流されていました。海岸沿いの公園跡地には原型を留めていない車や廃材などの瓦礫が山のように積み上げられ、津波の威力を物語っていました。現在でも瓦礫や倒壊した家屋が残っている状況ですが、住民の方の話によると、被災当初よりも瓦礫の収集が進み、緑も増えてきたとのことでした。
しかし、未だ住宅を再建築するまでには至っておらず、元の生活環境に戻れるのはまだまだ先のことになるでしょう。
【宮城県石巻市門脇地区】
■被災地の問題
今回の被災地視察は、石巻市で活動をしているNPO団体の方との打合せを兼ねての訪問で、団体の代表者・事務局長の方との打合せのなかで、被災地の現状等の話を伺うことができました。
被災地では現在仮設住宅の建設が進み、避難所等も少しずつ閉鎖されてきました。しかし、仮設住宅の建設地や住宅の構造に関する問題が浮上し、一度は避難所から仮設住宅に移っても避難所へ戻ってくるというケースも少なくないとのことでした。
仮設住宅は災害対策のため高台や街の中心地から離れた場所に建設されることが多く、公共バスの経由地から外れるため交通の便が悪いという問題があり、避難所生活よりも生活がしにくいという声が上がっているとのことでした。
また別の仮設住宅の問題として、住宅の壁が薄く会話が洩れてしまいプライバシーが守られないという問題や、光熱費は個人での負担になるため生活費の支払いができないなどの理由から、一度は避難所から仮設住宅に移ったものの、再度避難所に戻ってくるという現状があるようです。
仮設住宅の建設が進み、被災地に光が見えてきたように感じましたが、ひとつの問題が解決されれば新たな問題が発生するという鼬ごっこのようだと感じました。
【宮城県石巻市門脇地区】
【宮城県南三陸町地区】
何を持って復興と言うのか。そこの線引きが曖昧ですが、着実に被災地は復興に向けて進んでいます。
しかし、これから冬になってくるにつれ冬場の寒さは被災地にとって死活問題となります。被災地の踏ん張り所はこれからなのではないかと思います。
P.V.ソーラーハウス協会 会長 南野一也